業界変革のさなかアセットサービシングに必須な戦略転換

業界変革のさなかアセットサービシングに必須な戦略転換

2020年1月

エミリー・ポートニー、ローハン・シン

投資業界は大きな転換期を迎えており、業界の勢力図や未来予想図を塗り替えるトレンドがいくつか浮上しています。アジアそして世界各国において、長引く低金利とイールドカーブのフラット化が、資産運用会社や銀行、アセットオーナーが直面している2つの共通難題です。

BNYメロンのアセットサービシング部門グローバル・ヘッド・オブ・クライアント・カバレッジを務めるエミリー・ポートニーはこのほど東京で開かれたBNYメロンのイベントで講演し、世界のアセットサービシング業界に影響を及ぼしているトレンドとして、「統合」「アウトソーシング」「投資戦略」の3つを挙げました。

 

統合はM&A(合併・買収)活動を通じ、特に資産運用会社業界で鮮明になっており、そうした動きはサービスプロバイダーの統合や融合を導くことがたびたびあるとポートニーは話します。もっとも、M&Aを行わずとも、資産運用業界では効率性と価格交渉力を求めて、サービスプロバイダーを統合させたいという現場の需要があります。

 

「多くのクライアントが、カストディアンはおそらく10社から5社へ淘汰されると考えています。または、ファンドアドミニストレーションとトランスファーエージェンシー、カストディ業務を取り出し、一つのサービスプロバイダーへ集約して効率性の向上を図ることを検討している」とポートニーは述べています。

 

アウトソーシングはこれまでも長年にわたり行われてきましたが、より広範な機能が包括されているのが現在のトレンドです。ポートニーは、「ファンドアカウンティングやトランスファーエージェンシー業務を内部で行っている大規模な運用会社でさえ、圧力を感じ始めアウトソースを検討している」と述べたうえで、トレードサポート業務やローン管理業務、デリバティブサポート、担保管理業務などのミドルオフィスの業務もアウトソースが検討されていると続けました。「ミドルオフィス業務は間違いなく次の開拓地です。」

 

日本証券業協会の国際関係懇談会議長を務める大久保良夫氏はこの点を補足し、資産運用は純粋な投資の域を超えると指摘しました。「資産運用はクライアントのためのカストディ業務、法務・会計業務、税務、分配、アドミニストレーションで構成される」と語りました。統合とアウトソーシングの規模は明確です。「私たちは各構成要素を一つ一つ見て、事業を融合し、総合的なソリューションを届ける必要があります。」

 

もう一つの重要トレンドは、機関投資家がリスクの両極に資金を振り向けるという、投資戦略の「バーベル化」で、資産がパッシブ運用と、プライベートエクイティやプライベートクレジット、不動産など利益率の高いオルタナティブ商品に集中しています。

 

グローバルトレンドに取り組む戦略の3本柱

 

ポートニーは、これらの世界的なトレンドへのクライアントの対応をサポートするために、BNYメロンのアセットサービシングは3つの柱に基づく事業戦略を策定したと述べました。

 

一つ目の柱の焦点は、クライアントが頼りにしている基盤および中核業務の強化です。すなわち、カストディ業務やファンドアカウンティングなど、市場と市場関係者が当てにしている従来からの機能を強化し、弾力性と業務効率の向上を図るというものです。 この柱はまた、新しい市場への参入、新しい機能の開発、あるいは、例えばワークフローツールやNAV算出のコンティンジェンシープラン、IBORソリューション、トークン化などといった取扱業務の拡大を図るか否かを見極めるということでもあります。

 

二つ目の柱は、新しいデジタル体験の創造です。原則的に、人工知能や機械学習などより速い・より優れたテクノロジーを導入し、プロセスの簡素化、自動化の加速、業務処理のスピードと効率性向上の実現を目指します。

 

三つ目の柱は、データ管理サービスの拡充で、クライアントが内部で生成および第三者の情報源から受け取る膨大な量のデータ集計、サニタイズ、管理をサポートし、それらのデータを再びクライアントへ供給するサービスだ、とポートニーは述べています。例えば、押し寄せる決済取引やキャッシュフローへのより容易く効率的な経営判断や流動性の管理に実質的に役立つ見識や分析力を求める声がある、と彼女は指摘しています。

 

「デジタルやデータはもはや欲しいと願う存在ではなく、企業経営に不可欠なものになった」とBNYメロンのアセットサービシング・アジアパシフィック代表のローハン・シンは言及しています。さらに彼は、サービスプロバイダー向けのオープンアーキテクチャプラットフォームが構築されれば、他のサービスプロバイダーとの競争よりも機能性や性能を優先するため、効果的になり得る、と述べています。基礎となるデータにコネクタを構築し、ワンストップショップを通じてより優れた効率性と体験を提供するという戦略が機能するだろうとシンは指摘しています。

 

変化は繰り返され続けますが、変化のスピードもまた加速し続けます。先を見据え、バイサイドのリーダーは変化に伴う難題に取り組む覚悟をしなければなりません。BNYメロンは、クライアントのニーズに応えるため、常に機敏に、テクノロジー及びプロセスのイノベーションを担う明確な戦略を打ち出すことを中枢に据えながら、変化を受容し、急速に発展する市場を邁進してまいります。

Emily Portney

Global Head of Client Coverage, Asset Servicing

Rohan Singh

Managing Director, Head of Asset Servicing, Asia Pacific

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