2020年とその先の未来: ESG統合

劇的な変化の始まり

2020年とその先の未来: ESG統合

劇的な変化の始まり

2020年1月

サステナブル投資が世界中で主流になりつつあります。2018 年度世界のサステナブル投資レビュー(Global Sustainable Investment Review 2018)によると、「日本」「米国」「欧州」「カナダ」「オーストラリア・ニュージーランド」から成る5大市場におけるサステナブル資産の合計額は、2018年初めまでの2年 間で34%増加し、30兆7,000億米ドルに達しました。

資産運用残高合計に占める責任投資(2018年)

 

オーストラリア・ ニュージーランド

63%

カナダ

50%

欧州

49%

米国

26%

日本

18%

 

出所: Global Sustainable Investment Alliance, ‘Global Sustainable Investment Review 2018’

 

ESGにおいて浮上しつつある3つのトレンド

 

サステナブル投資の利点は、環境・社会・企業統治(ESG)上の利益にとどまりません。ESG評価モデルと業績の間に強い相関関係が存在することを示す学術調査もいくつかあります。また、上場企業の中でも、ESGの原則を自己の企業統治に組み入れている企業の方が、風評リスクが低く、営業許可が取り消される確率が低いことも証明されています。

 

 

13. 投資業界を変容させる気候変動

2015年以降炭素排出量は増加の一途を辿っており、私たち人類は、パリ協定の目標に従い、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べて2℃より十分低く保つことはできそうにありません。1.5℃より2℃の方が、猛暑、洪水、干ばつが遥かに深刻になると考えられます。

BNYメロン・インベストメント・マネジメントの『フューチャー2024(Future 2024)』レポートによると、調査に答えたCIO、ポートフォリオマネジャー、およびストラテジストの57%が気候変動をリスクともチャンスとも捉えており、地球温暖化が資産収益に及ぼす影響について不透明感が広がっていることがうかがえます。

機関投資家は、投資判断に気候要素を組み込んで低炭素投資を増やし、そして排出量や化石燃料の保有が多い企業を選別して排除する傾向を強めています。自社の投資がどれだけ地球の温度変化に寄与しているかを計算しリスクとリターンの潜在的要因について未来を見据えた分析により、戦略的な資産配分の意思決定プロセスをもたらすことができます。

 

 

14. 資本の役割を再定義するインパクト投資

BNYメロンでヘッド・オブ・グローバル・リスク・ソリューションズを務めるフランセス・バーニーによると、より詳細な情報開示に関する規制当局の要求に加え、現在、その要求の背後には機関投資家と個人投資家からサステナビリティ促進を後押しする大きな力があります。株主の改革主義やサステナブル投資を通して、特にミレニアル世代の投資家は、自分が何を所有し、それが社会へどのような影響を及ぼすかを理解するため、自分たちの投資を細かく調べる傾向があります。

投資家は、ESG要素について透明性を要求しており、ESG上プラス効果をもたらし得る新しい投資の選択肢を探しています。

従来のソリューションによる環境影響を減少できる代替技術のイノベーションを促進する手段として、インパクト投資を追求している投資家もいます。

ミレニアル世代が富を蓄積するにしたがい、金融サービス会社は戦略の舵を切り、価値観に基づく投資の選択肢や投資商品を創造する必要があります。

 

 

15. 投資収益の原動力となる重要なESG要素

一部の機関投資家は、特定の投資に関連するESG上の問題を判定するにあたり「マテリアリティ(重要課題)」の概念を採り入れています。

長年にわたり、ESG投資は収益の目標の面で妥協が求められると投資家は懸念していました。実際には、ESG投資に焦点を当てても、期待投資収益率を引き下げる必要がないことを示す証拠がいくつかあります。サステナビリティ会計基準審議会(SASB:Sustainability Accounting Standards Board)のマテリアリティの枠組みを用いた最近のある調査によると、重要なESGの課題に取り組み、重要でない課題には目をつむっている会社は、重要な課題も重要でない課題も両方に取り組んでいる会社といずれの課題にも取り組んでない会社を、それぞれ4%と9%近くアウトパフォームしています。

世界的な規制強化が本格化するなか、投資家は確固とした方針を採用し、マテリアリティの判断と運用会社の評価を行うべきです。機関投資家は、この種の投資が浸透するために必要な形に、投資と資本配分プロセスを変える必要があります。

同様に、重要なESG要素の活用と投資収益の間には正の相関関係があることを示す調査もいくつかあり、ESGリスク要因の管理は、長期的な投資収益やリスク軽減、各種資産クラスの超過リターンの特定といった観点からも有益になり得るという見解を裏付けています。

 

アセットオーナーはESG統合を、「あればそれに越したことはない」という価値観重視のインパクト戦略とみなす余裕はもはやありません。サステナビリティへの政府の取り組みに応じた規制の変化が、市場の構成とバリュエーションに重大な影響を及ぼすことが見込まれます。投資業界においては、リスクを軽減し、そしてサステナブルな成長過程への移行によりオポチュニティーを特定しポートフォリオを調整する明確な投資対効果検討書が存在します。

公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)
チーフエコノミスト兼リサーチディレクター
ダナエ・キリアコポウロ

 

ESG概観

 

オーストラリア

 

2019年3月、気候変動に関する提言により金融システムを再定義するためにオーストラリア・サステナブル・ファイナンス・イニシアティブ(ASFI:Australian Sustainable Finance Initiative)が発足しました。

 

オーストラリア退職年金基金投資家評議会(ASCI:Australian Council of Superannuation Investors)は2019年5 月の政策文書にて、規制当局、政府、そして投資家に対して、インベストメントスチュワードシップを強化し、投資判断へ ESGを組み込む規定を策定するよう呼び掛けました。

 

480億豪ドルにのぼる資金を運用する建築・建設業労働者の退職年金基金Cbus は2019年9月、自己の不動産ポートフォリオによる炭素排出量を2030年までにゼロにするための計画を策定しました。

 

カナダ

 

2019年にジャスティン・トルドー首相が再選された結果、同政権は温室効果ガスの排出量を2030年までに対2005年比で30%削減するとの公約を実行に移し、クリーン(環境)テクノロジーの促進を図ることが予想されます。これらの努力が報われれば、責任投資のAUMが 2年間1で42%の伸びを記録したESGの素晴らしい記録を後押しすることになります。

 

中国

 

世界最大規模の銀行である中国工商銀行(ICBC)は2019年4月、22億米ドルにのぼるグリーン債券を発行しました。

 

中国平安保険グループは2019年8月、中国のアセットオーナーとして初めて国連責任投資原則(UNPRI)に署名しました。

 

中国証券監督管理委員会(China Securities Regulatory Commission)は 2020年までに、ESG情報の開示を全上場企業に義務付ける予定です。

 

日本

 

2019年4月、76の国内企業が気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。

 

年金積立金管理運用独立行政法人は現在、5つのESGインデックスに3.5兆円を割り当てています。同法人は、すべての運用機関にESGを投資分析に組み込むよう要求しており、日本国外のサステナブル指数も組み入れることを計画しています。

 

マレーシア

 

従業員積立基金(Employees’ Provident Fund)やカザナなど大規模なアセットオーナーがUNPRIに署名しています。

 

オランダ

 

社会的に進歩的な国として知られるオランダはESG投資の導入に適しています。2018年、合算すると資産が1.2 兆ドル近くにのぼる70余りのオランダ年金基金が、非政府組織(NGO)、労働組合、およびオランダ政府との誓約に署名し、国連のビジネスと人権に関する指導原則(Guiding Principles for Businesses and Human Rights)および経済協力開発機構(OECD)の指針に沿ったサステナブル投資に関する世界的協力を誓いました。

 

最近の業界調査によると、オランダの年金基金加入者の半分が、包括的なサステナビリティ方針を掲げている基金で年金の積み立てを行っています。

 

韓国

 

国民年金公団(National Pension Service)は2019年4月、ESGの取り組みに関する年次報告書を公表すると発表 しました。

 

2019年6月、韓国政府はグリーン債券を初めて発行し、5億米ドルを調達しました。韓国電力公社(KEPCO:Korea Electric Power Corporation)も、再生可能エネルギーに特化した5億米ドルのグリーン債券を発行しました。

 

米国

 

CFAソサイエティ・オブ・ニューヨークが実施した2019年調査によると、アセット オーナーはESGの継続教育に取り組んでおり、42%がESGの重要性とサステナビリティ問題について自己の監査委員会に対し教育を行う計画をしていることが分かりました。現行の方針を見直すか新しい方針を導入することで、ESG を投資プロセスへ正式に組み込む予定をしていると答えた回答者は39%にのぼりました。

 


2018 Canadian Responsible Investment Trends Report(2018年カナダ責任ある投資に関する動向レポート)

 

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